キミは僕に好きとは言わない


ーーードスンッ!


「痛ったぁ!」


思いっきり叫んだ後は、変に動いた体がドスンと床に尻餅をついた。


「わっ!?大丈夫ですか?」

「バッ、バカ!こっち見ないで!」


落としたワンピースを急いで身体にかけるも、情けない防御力。

下着も手足もほとんど丸見えで、赤く染まる顔を隠すこともできない。


「なんで急に開けるの!?ちゃんとノックしてよ!」


いくら幼なじみと言えど、年頃の男と女。

下着姿を見られたら恥ずかしいに決まってる。


「桃矢のバカ!変態!早く閉めてよ!!」


ノックもしないで開けるなんてマナー違反!

下着姿でフラフラしてたわたしも悪いけど、勝手に開けた桃矢はもっと悪い!


「あぁ、わかりました」


ーーーバタン


わたしの言葉を聞き入れて、桃矢がようやく扉を閉めた。


……部屋の中に、入ったまま。


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