キミは僕に好きとは言わない


それから「じゃあ、行こうか」という先輩の言葉を合図に、わたしたちはフラワーガーデンの入場ゲートをくぐった。


「わぁ〜、すっごい!なんだかお花の世界に来たみたいです」


ゲートをくぐった瞬間に広がる、色鮮やかな花畑。

どこを見ても花で溢れているから、目が足りなくて困る。


「俺も来るのは初めてなんだよね。……あ、ひまわり畑だ!」


わたしの隣を歩いていたはずの先輩が、ひまわり畑に早足で向かって行く。

その無邪気な姿が可愛くて、思わず小さく笑った。


「ひまわりって見てるだけで元気が貰えるから、すごく好きなんだよね」

「わかります!なんだかパワーを感じますよね」


先輩は本当にひまわりがお気に入りなんだなぁ。

前に先輩のお店に遊びに行ったときも好きだと言っていたし、ひまわりが少しだけ羨ましいかも。


だってさ、先輩のキラキラとした瞳を向けてもらえるのって、花限定だと思うんだ。

花好きな先輩がわたしも好きだけど、夢中になりすぎるから嫉妬しちゃう。


もしかしてわたしって、ヤキモチ妬きなのかな?


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