キミは僕に好きとは言わない


「なずなちゃん、こっちにはスイレンの池があるみたいですよ」

「え、どこ?」


桃矢が指を差した場所は、ひまわり畑のすぐ近くにある大きな池。

看板には『睡蓮(スイレン)の池』と書かれていた。


明るく眩しいひまわり畑とは違い、穏やかで落ち着いた雰囲気を感じる花。

名前のせいか、萩原先輩に少し似ているような気がする。


「へぇ、隣はスイレンの池なんだ。見に行こうか」

「は、はい!」


ひまわりばかり見ていた先輩と、ようやく目が合った。

突然向けられた笑顔に胸キュンとして、心臓が飛び出ちゃいそう。


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