キミは僕に好きとは言わない


「おー、こんなにスイレンがあると圧倒されちゃうなぁ」


先輩はどんな花を見ても楽しそうに笑う。


「ほんとですね」


そんな先輩を見て、わたしも自然と笑顔になっちゃうくらいに。

こういう綺麗なスイレンの前とかで告白できたら、最高にロマンチックなんだろうなぁ。


告白はムードも大切だと、以前読んだ本にも書いてあった。

こうやって少しずつ距離を縮めて、いつか先輩に……………。


「ねぇ、なずなちゃん。スイレンとハスの違いって何かわかる?」

「へっ!?えぇっ、えーっと……」


告白のことを考えていたせいで、急に声を掛けられて驚いた。


うーん、スイレンとハスでしょ?

共通点が多い花なのは知っているけれど、違いは何と聞かれると答えに少し悩む。


「見た目……ですかね?」


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