きみに触れられない
「父さんとは会えるし寂しくもない。

母さんとの暮らしも楽しい。

でもさ、父さんのことも好きだし、母さんのことも好きだから、
父さんと母さんがたまに会って話してるのを見ると、やっぱり家族っていいなあって思うんだ。

他の家族もさ、家族で楽しい時間を過ごしてほしい。

そのための家を作りたいって思った」


その瞳はまっすぐで希望の色をしていた。

眩しいくらい、輝いている。


「みんなが楽しく過ごせるように、願いを込めて」


そこまで話すと綾芽ちゃんは恥ずかしくなったのか、急に私の方を見て焦ったように言った。


「……って、そんな感じ。恥ずかしいなあ、改めて話すと」


はにかむ綾芽ちゃんが、私には眩しかった。


「すごく、すごくすてきだね!」


私が興奮ぎみでそう言えば、「ありがと」と綾芽ちゃんは少し照れたように笑った。


「将来の夢ってさ、ミサが考える通り、すっごく大事だと思う。

だから今すぐ、『これだ!』って決める必要なんてないんじゃない?」


綾芽ちゃんは私の目を見て穏やかに語る。

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