きみに触れられない
4章
隣にいてくれるひと
次の日も、私とカナは一緒に登校していた。
いつもと同じように、どうでもうい、他愛もない、とりとめもない話をしながら。
少しだけ気になったことがあると言えば、カナの表情がいつもより暗いことだった。
固い表情のまま、前を見据えている。
「…カナ、どうしたの?」
「え?」
カナは心底驚いた顔で私の方を見るとまた前を向いた。
「カナ、辛そうだから」
カナが私のことを分かるように、私もカナのことは分かる。
カナの家族の他で、カナのことをいちばんに分かってる自信はある。
だてに年齢分カナと幼なじみをやってきたわけじゃない。
「やっぱミサには隠すのムリか」
カナは笑った。
その笑顔は辛そうで、見ているこちらまで辛くなる。
「何があったの」
するとカナは少し間を置いて話しだした。
「俺さ、中学校のときからお世話になってる先輩がいるんだ。
その人が俺を可愛がってくれて、たくさん練習に付き合ってくれたし、たくさん教えてもらった。
先輩のおかげで強くなれた。
先輩はすごく強くて絶対敵わないような人だけど、すっごい優しくてさ」
本当に、尊敬する先輩なんだ。
カナが呟いた最後の言葉が、すごく重かった。
その言葉にどれだけの想いがこめられているのか、きっと私には想像つかない。
ただ、カナにとってとても大切なひとだということだけが分かった。
いつもと同じように、どうでもうい、他愛もない、とりとめもない話をしながら。
少しだけ気になったことがあると言えば、カナの表情がいつもより暗いことだった。
固い表情のまま、前を見据えている。
「…カナ、どうしたの?」
「え?」
カナは心底驚いた顔で私の方を見るとまた前を向いた。
「カナ、辛そうだから」
カナが私のことを分かるように、私もカナのことは分かる。
カナの家族の他で、カナのことをいちばんに分かってる自信はある。
だてに年齢分カナと幼なじみをやってきたわけじゃない。
「やっぱミサには隠すのムリか」
カナは笑った。
その笑顔は辛そうで、見ているこちらまで辛くなる。
「何があったの」
するとカナは少し間を置いて話しだした。
「俺さ、中学校のときからお世話になってる先輩がいるんだ。
その人が俺を可愛がってくれて、たくさん練習に付き合ってくれたし、たくさん教えてもらった。
先輩のおかげで強くなれた。
先輩はすごく強くて絶対敵わないような人だけど、すっごい優しくてさ」
本当に、尊敬する先輩なんだ。
カナが呟いた最後の言葉が、すごく重かった。
その言葉にどれだけの想いがこめられているのか、きっと私には想像つかない。
ただ、カナにとってとても大切なひとだということだけが分かった。