きみに触れられない
いつも、隣にいてくれるひと。

今までも、隣にいてくれたひと。


幼なじみなんて言葉じゃ言い表せないほど、大切な存在。


ねえ、きみが笑ってくれるために、私に何ができる?





「お祭り?」

学校に行くと、綾芽ちゃんからお祭りの誘いを受けた。

「今週の土曜日にあるお祭り」

ミサも知ってるでしょ、と言われて、まさか、と思い当たった。

「まさか、神社の花火大会?」

綾芽ちゃんはにっこり微笑み、私は青ざめた。

神社の花火大会といえば、ここら辺でいちばん大きな花火大会だ。

神社の境内を中心にさまざまな出店が立ち並び、神社の近くを流れる大きな川の上で花火が打ち上げられる。


「そ、それに綾芽ちゃんは行くつもりなの?」

「当然!」

これに行かなきゃ夏じゃないもの、と綾芽ちゃんは興奮したように言う。

しかしあの花火大会は何がすごいって、花火の数や出店の種類よりも、そこに集まる人の数だ。

この街に住んでいる人が全員来たんじゃないかと思うほどに、たくさんの人で賑わう。

私は幼い頃しか行ったことはないけれど。
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