きみに触れられない
「じゃあ、そういうことで」

よろしくー、とカナが頭を下げた。

__カナと一緒にお祭りなんて、小学生ぶりかもしれない。


「集合場所とか時間とかはまた後で連絡するよ」

「ありがと、川島さん」

こちらこそだよ、と綾芽ちゃんは笑った。


「楽しみにしてる」


カナはそう言うと男の子たちの輪の中に入っていった。


__もし、もしも、カナが私のことを考えてくれていて、私がお祭りに行くと言ったから、カナも行くことにしたのだとしたら。

私といるために、そう答えたのだとしたら。


そんなことを考えて首を横に振った。


ダメだ、そんなの。

絶対違うのに。


すると綾芽ちゃんが「ミサ、ちょっといいかな?」と聞いていた。

「うん?いいけど?」

「昼休みの時間、あたしにくれる?」

「いいけど…」

いったいどうしたの。

そう聞こうとした時、チャイムが鳴り響いた。

綾芽ちゃんはそそくさと席に着いた。

なんだろう。何があるのだろう。

そんなことを思いながら、朝礼が始まった。
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