きみに触れられない
「は、ハル!?」
思いもよらない人物が、そこに立っていた。
「なんで譲っちゃうのさ」
みーちゃんらしいけど、ハルは呆れたように笑った。
それからいつものように私の隣に座った。
「好きなんでしょ?幼なじみクンのこと」
ハルの真っ直ぐな目に、私の戸惑う顔が映っていた。
__確かにカナのことは、好きだ。
恋愛感情なのかどうかはよく分からないけれど、それでも確かにカナが好きだ。
幸せになってほしいと思うし、笑顔でいてほしい。
そのためにできることがあるなら何だってしたいと思う。
私の太陽。
私のヒーロー。
「もう、どうしたらいいのか分かんないよ」
ドンッと花火が咲く音が心臓に響いて涙が滲んだ。
ずっと近くで照らしてくれていた、守っていてくれた、大切な存在。
そんなカナが遠くへ、綾芽ちゃんのところへ行ってしまうことが、寂しくて、悲しくて、悔しくて、切なくて。
だけどそんなことを思う自分が、醜くて、嫌いで、大っ嫌いで。
「誰よりも幸せになってほしい。
なのに、遠くに行ってほしくない」
抱える矛盾を、どうすればいい?
するとハルは「幼なじみクンとみーちゃんがくっつけばいいんじゃないの?」と言った。