きみに触れられない
ミサの表情はどこか楽しそうだった。

クラスにいるときや、塩谷君と話している時ともまた違う、すごく楽しそうな表情だった。

ミサはクラスにいる時など特に暗い顔をしていることが多い。

だからこの表情は新鮮だった。

それに楽しそうなだけじゃない。

ほんのり頬が色づいているようにも感じた。


ミサ、好きな人がいる__?


足早に進むミサの後ろを追いかけながら、そんなことを思った。


ミサはどんどん人気のない方へと進んでいく。


どこへ向かう気なんだろう?


ミサは物怖じした様子を見せず、あたしの思いもよらぬ方へと足を進めた。


__嘘、でしょ。


ミサが曲がった先にあったのは、階段。


屋上へと続く、階段だった。
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