きみに触れられない
「これで信じた?」
ハルは息を吐き出しながらそう言った。
そして自分の後ろを指しながら、「影もないでしょ?」と言った。
「え?」
私は慌てて振り返った。
屋上のコンクリートに伸びる私の影。
その隣にあるはずのハルの影はどこにも見当たらない。
私は今度こそ目を見開いた。
自分の影と、ハルの姿と、そこにあるはずのハルの影を何度も見返した。
「今まで気づかなかったの?」
ハルはクスクス笑っていた。
私は俯いて頷いた。
全然、分からなかった。
全然、気づかなかった。
ハルがユーレイだなんてそんなこと思ったことなかったし、影に着目したこともなかった。
屋上は光が溢れて眩しくて、私はいつも目を細めていた。
それに屋上では空と街をずっと見ていた。
そうでない時はハルの顔を見ていた。
だからハルの影なんて見る隙もなかった。
きっと、目が眩んでいたんだ。
夏の青が眩しくて、ハルの秘密も影も見えなかったんだ。
そんな言い訳じみたことを考えて、だけど口には出せなかった。
「まあ、普通、こうやって話している人がユーレイだなんて思わないよね」
ハルはまるで他人事のように笑う。
どうしてそんなに笑うのか分からない。
だけど今のハルの笑顔は見ていて苦しくなる。
ハルは息を吐き出しながらそう言った。
そして自分の後ろを指しながら、「影もないでしょ?」と言った。
「え?」
私は慌てて振り返った。
屋上のコンクリートに伸びる私の影。
その隣にあるはずのハルの影はどこにも見当たらない。
私は今度こそ目を見開いた。
自分の影と、ハルの姿と、そこにあるはずのハルの影を何度も見返した。
「今まで気づかなかったの?」
ハルはクスクス笑っていた。
私は俯いて頷いた。
全然、分からなかった。
全然、気づかなかった。
ハルがユーレイだなんてそんなこと思ったことなかったし、影に着目したこともなかった。
屋上は光が溢れて眩しくて、私はいつも目を細めていた。
それに屋上では空と街をずっと見ていた。
そうでない時はハルの顔を見ていた。
だからハルの影なんて見る隙もなかった。
きっと、目が眩んでいたんだ。
夏の青が眩しくて、ハルの秘密も影も見えなかったんだ。
そんな言い訳じみたことを考えて、だけど口には出せなかった。
「まあ、普通、こうやって話している人がユーレイだなんて思わないよね」
ハルはまるで他人事のように笑う。
どうしてそんなに笑うのか分からない。
だけど今のハルの笑顔は見ていて苦しくなる。