きみに触れられない
昼休み、屋上に行けば、満面の笑みのハルがいた。

「えっ、どうしたの?」

ニッと目を細めて笑うハルのこの笑顔はどうにも胡散臭い。

何か企んでいるのではないかと少し警戒したくなる。

少し距離をとってファイティングポーズをとっていると、「そんな警戒しなくても」とハルは笑った。

「そんなことよりさー」と近づいてきたハルは顔に、ドキンと心臓は痛くなった。


近い、近い!

近くで見るハルの顔は綺麗で、まっすぐ見つめられた目は透き通る茶色だとか、よく見たら左目の下のところに小さな黒子があるだとかそういうの初めて知った、というか今はそんなことを考えている場合じゃなくて!

ドキドキ、なんて甘い言葉じゃ表せないほど、心臓は強く早く鼓動していた。

吐息がハルの顔に当たったらどうしようとか考えるとまともに息もできない。

どこを見たら良いのか分からず、視線をあっちこっちに動かしていた。

するとハルは微笑んで近づけていた顔を離した。

私は胸に手を当てて大きく深呼吸した。

まるで長距離走をした後みたいに心臓が、肺が、痛かった。


一体何を言い出すつもりかとハルを見上げると、ハルはニヤついた意地悪そうな笑顔で私を見下ろした。


「みーちゃん、告白されてたでしょー。それも幼なじみクンから」


私は目を見開いた。
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