きみに触れられない
「み、見てたの?」

「うん」

「告白されたの、通学路だったんだけど?!」

「そうだね」

「この、ストーカー!」

ストーカーと叫ぶとハルは「そんな人聞き悪いこと言わないでよー」とのんびりした口調で言った。

「実際そうでしょ!」

私は詰め寄ったけど「まあ、まあ」とあっさり流されてしまった。


「何はともあれ、良かったじゃん!で、返事はしたの?」


ワクワク顔で聞いてくるハルはきっと、私の恋愛を楽しんでいる。

はあ、と溜め息を吐き出したところで、はっと思い当たった。


そうだ、ハルは私とカナがうまくいくように応援してくれているんだ。


『みーちゃんが幼なじみクンのことが好きなら、俺、2人のキューピッドになってもいいけど?っていうか、キューピッドになるから!』


私が幼なじみのカナのことが好きだと思い込んで、キューピッドになるって。


だけどそれって、ハルは私のこと好きじゃないってことだよね?


『友達じゃないの?』


友達としか思ってないってことだよね?


そこまで考えて、胸が苦しくなった。

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