きみに触れられない
時間は流れて、昼休み。

いつものようにお弁当箱を持って、屋上に向かう。

扉を押し開けるとそれは光に満ちて目が眩むほどの青が大空に広がっていた。

あふれる光に目を細めながら、いつもの日陰スポットへ向かう。

お弁当を広げると、今日のおかずはハンバーグだった。

昨日の晩御飯がそうだったから、きっとお弁当のおかずになるだろうとは分かっていたけど、それでもやっぱり嬉しい。


「嬉しそうな顔してるね~、みーちゃん」

「ハル!」


振り返るとハルがいた。


「そんなにハンバーグ好きなの?」

笑顔のハルはなんだか私を子ども扱いしてバカにしているようにも見えた。


「ハンバーグは好きだけど?」

だから何なんだ、と口にはしないものの思いが伝わるように必死に目で訴えかける。


「へえ、意外とみーちゃんて子供っぽいとこあるんだね」

いつもはあんなに静かで大人っぽいのに、とハルは横目で人を馬鹿にするような笑みを浮かべながら言う。

「別にハンバーグ好きだからって子供っぽいって言われるのは心外だし、私は子供っぽくない!」

「はいはい」

私の必死の抵抗も、ハルの前には子供がわめいているようにしか聞こえないのだろう。

むかついてしかたがない。
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