きみに触れられない
「あんたのせいで、どれだけ私が変わったと思ってるの!」


ハルに出会うまでの私は、相当暗かった。

いつも黙って、勉強ばかりして。

友達もカナ以外にいなくて、暗い。

言いたいことがあっても、その言葉のせいで誰かが傷つくんじゃないかと恐れて何も言えない。

漠然とした将来への不安を持っていた。


けれどハルと出会って、私は変わった。

みんなからもそう言われるほど、自分でも実感するほど、変わった。


友達ができた。

将来への指針が立った。

言いたいことが言えるんだって、伝わるんだって、分かった。

学校に来るのが楽しくなった。

感情を表に出せるようになった。


それがどれだけ嬉しかったか、どれだけありがたいのか、きっと感謝してもしきれない。


「全部、全部、ハルのせいなんだよ」


一体何から言えばいいか分からない。

けれどどんな言い方でも、どんな伝え方でも、ハルになら全部伝わるって思った。

そんな人物と出会えて、私がどれだけ嬉しかったか。

ねえ、ハル、その重大さ、きみには分かる?
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