きみに触れられない
なんで、どうして。
せわしなくめぐる思考回路。
そっともう一人の自分に触れて、気づいた。
自分の指がすり抜けていった様子を見て、納得した。
動いている自分は魂で、ベッドで眠る身体から抜け出したのだと。
いわゆる、幽体離脱。
そんな状態になるなんて、思ってもいなかったなあ、なんてのんきに考えてみる。
するとベッドで眠る身体の隣で、家族が泣いている姿を見つけた。
母さんたち、すごく心配かけて悲しませたな。
たしかに交通事故にあったし、ここで寝てるってことは相当のけがなんだろう。
だけどそんなに悲しまなくても、俺はこうして元気だからすぐに回復するのに。
そう思った時だった。
病室のドアが開いて、医者が入ってきた。
「先生!遥幸は!」
すがりつくように母さんが問う。
医者は伏目がちにゆっくりと説明を始めた。
俺が道路に飛び出した子どもをかばって交通事故に巻き込まれたこと。
それで俺は体中にすごいケガを負ったこと。
脳にもダメージがあって、昏睡状態に陥っていること。
それから、いつ目覚めるのか分からないこと。
それを聞いた家族は泣き崩れた。
俺は呆然とした。
せわしなくめぐる思考回路。
そっともう一人の自分に触れて、気づいた。
自分の指がすり抜けていった様子を見て、納得した。
動いている自分は魂で、ベッドで眠る身体から抜け出したのだと。
いわゆる、幽体離脱。
そんな状態になるなんて、思ってもいなかったなあ、なんてのんきに考えてみる。
するとベッドで眠る身体の隣で、家族が泣いている姿を見つけた。
母さんたち、すごく心配かけて悲しませたな。
たしかに交通事故にあったし、ここで寝てるってことは相当のけがなんだろう。
だけどそんなに悲しまなくても、俺はこうして元気だからすぐに回復するのに。
そう思った時だった。
病室のドアが開いて、医者が入ってきた。
「先生!遥幸は!」
すがりつくように母さんが問う。
医者は伏目がちにゆっくりと説明を始めた。
俺が道路に飛び出した子どもをかばって交通事故に巻き込まれたこと。
それで俺は体中にすごいケガを負ったこと。
脳にもダメージがあって、昏睡状態に陥っていること。
それから、いつ目覚めるのか分からないこと。
それを聞いた家族は泣き崩れた。
俺は呆然とした。