きみに触れられない
みーちゃんを知るたびに、彼女がどれだけの苦しみの中を生きているのか思い知らされた。

学年トップの学力で、将来なんて選びたい放題。

恵まれているけれど、彼女は恵まれている以上にとても苦しんでいた。

友達もおらず、言いたいことを言えず、期待されるからこそ将来のことで悩み苦しんで。

それはひとえに彼女が優しすぎるからだと思った。

優しすぎて、人を傷つけたくなくて、結局何も言えなくなる。

すごく損をしていると思った。

あんなに大切に誰もを思える人、みーちゃん以外にいないのに。

それから俺はみーちゃんをどうにかしたくていろいろとアドバイスした。


みーちゃんはどんどん変わっていった。


俺のかけた言葉なんかを信じて、勇気を振り絞って。

友達を作って、言いたいことが言えるようになっていった。

曇りが晴れていくように輝いていった。

みーちゃんがすごく眩しく見えた。


そんな中でみーちゃんの気になる人が奏人だということを知った。

俺はそれはそれでいいんじゃないかと思った。

奏人はいいやつだし、尚且つみーちゃんの幼なじみなら任せられると思った。

死にかけの俺より絶対みーちゃんを幸せにできると思った。


だけど現実は思った通りにならなかった。
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