きみに触れられない
ハルはそれから必死にリハビリをしているらしく、病院にあるリハビリセンターではなくて、もっと専門的なリハビリができる場所へと4か月前に移った。

それからハルとは会っていないし、連絡もしていない。

その手段が何もなかった。

だけどきっとどこかでハルは日々リハビリに精一杯取り組んでいるのだろうと思う。


きっと良くなってると、私は信じてる。


すると突然私のクラスの扉が乱暴に開いた。


「ミサ!」


教室に飛び込んできたのはカナだった。


「か、カナ!?」


今まではカナに私のことを米山さん、と呼んでもらうようお願いしていた。

でもそれももうやめにした。

私が今まで気にしすぎていた反省もある。

それにもし呼び方くらいで嫌な目にあうなら、戦ってやる。

そう思えてきたから。


「か、カナ、どうしたの?」

慌てて駆け寄ると、カナは走ってきたのか肩で息をした。


「せんぱい、が」

「先輩?」


先輩、とは誰のことを指しているのだろう。

というか私たちが今は最高学年だ。

先輩って…。


「っ、まさか!」


はた、と思い当たって、尋ねると、カナは頷いた。


そこで担任が入ってきた。
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