きみに触れられない
「その前に、復学なんかして大丈夫なの?身体は?」

するとハルは遠くを見つめながら「大丈夫だよ」と言った。

「俺、絶対みーちゃんがこの学校にいるうちに復学しようって思ってたからさ、すっごい必死になってリハビリしてたんだよ?」


ハルは私を見ながら言った。

その様子はなんとなく想像がついた。

ハルのことだから、文字通り寝る間も惜しんでリハビリと勉強をしていたのだろう。全く、無茶をする。


「うわ!」

突然私の体はハルで包み込まれた。

ハルの腕が私の背中に回る。


「は、はははは、ハルさん?!な、なななな何をしていらっしゃる!?」


するとハルはつぶやくような声で言った。


「早く、会いたかった」


その言葉にどれだけの想いが込められているのか、きっと私には計り知れない。


「早く、触れたかった」


ハルは右手で私の左手を包み込んだ。


「手、温かい」


ハルはクスリと笑った。

私は脳内大パニックだ。
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