きみに触れられない
まるで自覚はなかった。
私がそんなに嬉しそうな顔をしていたことなんて。
他人に気づかれるほど、表情に出ていたなんて。
でも、もし私がカナに分かるほど嬉しそうな顔をしてるのなら、その理由は、みんなで晩ご飯を食べたこと以外にある。
『ねえ、またここに来てよ。俺、またみーちゃんと話したいし』
『友達じゃないの?』
きっと、あのひとに会ったから。
友達になったから。
適当で、ヘラヘラしてて、むかつくけど。
幼馴染ではない。クラスメイトではない。
もっと別の、ずっとあこがれていたカタチ。
私に初めてできた、『友達』。
ハル。
屋上に行けば会える、風みたいなひと。
*
いつもの標識でカナと別れる。
「朝練頑張って」
「またあとで」
カナは自転車にまたがると風を切って走っていた。
いつものように遠ざかるカナの後ろ姿を見つめながら、学校を目指して歩く。
いつもと同じだけど、少しだけ気持ちは違った。
学校に行くことを、授業を受けることを、今まで何も思わなかった。
辛いとも、苦しいとも、楽しいとも、何とも思わなかった。
でも、今は違う。
今日の昼も屋上に行けば会えるだろうか。
そんなことを思って、気持ちがふわりとあったかくなる。
私がそんなに嬉しそうな顔をしていたことなんて。
他人に気づかれるほど、表情に出ていたなんて。
でも、もし私がカナに分かるほど嬉しそうな顔をしてるのなら、その理由は、みんなで晩ご飯を食べたこと以外にある。
『ねえ、またここに来てよ。俺、またみーちゃんと話したいし』
『友達じゃないの?』
きっと、あのひとに会ったから。
友達になったから。
適当で、ヘラヘラしてて、むかつくけど。
幼馴染ではない。クラスメイトではない。
もっと別の、ずっとあこがれていたカタチ。
私に初めてできた、『友達』。
ハル。
屋上に行けば会える、風みたいなひと。
*
いつもの標識でカナと別れる。
「朝練頑張って」
「またあとで」
カナは自転車にまたがると風を切って走っていた。
いつものように遠ざかるカナの後ろ姿を見つめながら、学校を目指して歩く。
いつもと同じだけど、少しだけ気持ちは違った。
学校に行くことを、授業を受けることを、今まで何も思わなかった。
辛いとも、苦しいとも、楽しいとも、何とも思わなかった。
でも、今は違う。
今日の昼も屋上に行けば会えるだろうか。
そんなことを思って、気持ちがふわりとあったかくなる。