きみに触れられない
目を細めて笑う。

「そう、なんだ」

なんだか、違うんだと思った。

私は近づけたんだと思っていた。

友達とは呼べなくても、それに近い存在になれたんじゃないかと思っていた。

でも、違った。

彼女たちはもっと深い関係にあった。

お互いのことをちゃんと分かっていた。

私には分からなかった。

そりゃ、言ってしまえば当然のことだ。

私は彼女たちと最近話すようになったのだから。

でも、だからこそ、やっぱり私と彼女たちは違うのだと思わずにはいられなかった。

「そうだ、米山さんは行かない?」

突然岩田さんが言う。

「え?」

「駅前のカフェ。一緒に行こうよ」

キラキラの笑顔。

憧れていた会話。

友達と寄り道して帰ること。


「ごめん、今日は塾があって__」


本当は断りたくなんてなかった。

本当は行きたかった。

でも、塾を休んでみんなとカフェに行く、そんな選択肢は私にはできなかった。

堅く拳を握りしめる。


「そっか、それはしょうがないね」


岩田さんは少し眉を下げた。
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