きみに触れられない
「来たんだ」

後ろから声がして振り返る。

眩しくて思わず目が細くなるけど、それが誰なのかはすぐに分かった。

「ハル…」

その姿を見た瞬間、なんだか泣きたくなった。

「今日はまた一段と眩しいね」

そんな私に全く気付かないハルは目を細めて空を見上げた。

「みーちゃんは何を見てたの?」

「街」

ふーん、とハルは私の隣に来て見下ろした。

「今日は遠くまで見えるね」

ハルは目を細めてくしゃりと笑った。

「ほら、海が見える」

街の向こうにある海を指差して、ハルは少年のようにはしゃぐ。

「本当だ」

街の向こうにゆったり広がる青。

でも、空とは違う色。

どこからが海で、どこからが空なのだろう。

空と海の境目を見つめていた。


「みーちゃん、何かあったでしょ?」


「え…」


私は思わず固まった。

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