きみに触れられない
「人と話すの、苦手なんだ」


呟いた声は小さく響いた。


「何を話せばいいのか、どう話せばいいのか、分からなくなる」


見上げた空は変わらない青色だった。

どこまでも、どこまでも、青くって、見上げた真上の空は青よりずっと深い色をしていた。

澄みきっていて、透明で、吸い込まれそうになって、怖くて震えた。


「私、友達と一緒にいるの向いてないのかも」


ぽつり、呟いた声はすうっと空気に馴染んで溶けるように消えていった。


ハルは黙って空の青を眺めていた。

それから私の方を見て「思ったんだけど」と言った。


「俺とは普通に喋れてるじゃん」


ニカッと白い歯を見せて笑う。

なんだか気が抜けてしまう。


「…ハルと話すとき、私、うまく喋れてるの?」

「みーちゃんが言う『うまく喋る』って、なに?」


ハルお得意の質問返し。

でも私はなかなか答えられなくてしばらく口をつぐんでしまった。

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