きみに触れられない
私があこがれる友達って、ああいう感じなのかもしれない。

どうでもいいことを話し合ったり、お互いのことがちゃんと分かっているような。

私は溜め息を吐いた。


__ハルとは話せるのに。


岩田さんと川島さんほどの仲とは言えないけど、会話できている。


何も考えなくても、できるのに。


担任が入ってきて朝礼が始まったけど、私は空を見ていた。

朝礼が終わると、クラスはざわざわと騒がしくなる。

騒がしくなったなあとぼんやり思いながらも空を眺めていると「米山さん」と話しかけられた。

ハッと意識を戻すと、声をかけたのは川島さんだった。


「今日、米山さん日直でしょ?」


「はい、日誌」そう言って手渡されたのは黒革の表紙の学級日誌だった。


「あ、ありがとう」


しどろもどろになりながらも何とか返事をして受け取った。

川島さんは「うん」と言うと自分の席に戻った。

サバサバしているというか、必要なことしか話さないというか、川島さんはクールでかっこよくて。

けれど、その笑顔は可愛くて。

愛嬌があって、自然体な人だ。
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