きみに触れられない
するとハルは「あのさあ」と話題を変えた。

「みーちゃんて本当に可愛いよね」

真顔でそんなことを突然言い出したハルに私は目が点になった。

「は?」

「いや、みーちゃんが笑った顔が本当に可愛いなあって」

からかっているのか、バカにしているのか、それとも目が悪くなったのか。

意図がつかめず困惑していると「みーちゃん純粋!」とハルは笑い出した。


「みーちゃんって、実はモテるでしょ?」


ニヤニヤ笑顔のハルに「そんなわけないでしょ」と私は溜息を吐いた。


「私、高校2年生になってから男子と話した回数なんて片手で数えられるくらいだよ」


カナは別として、他は事務連絡くらいだけど。

宿題どこだったっけ、とか、テストの範囲どこだったっけ、とか。


「そういう物静かでミステリアスな感じがいいんだよ。高嶺の花っていうかさあ」


__ハルの言うことはやっぱり分からない。

私がため息を吐くと、ハルは「じゃあさ」とさらに質問してきた。


「みーちゃんって、好きな人いるの?」


今度こそ私は眉間にしわを寄せた。


「うわあ、怒んないでよ!」


ハルは慌てて私をなだめる。


「そんな人、いるように見える?」

「いたら応援したいなあって思ったんだけど」


キラキラと瞳を輝かせながらハルが尋ねる。

私は溜息を吐いた。

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