きみに触れられない
カナと、登校?

そりゃ、いつも一緒に登校してるけど。


でも、無理だよ。


今日は、無理だ。


だって、こんなに。

こんなに、脳内で響いてる。


『幼馴染クンなんだ。みーちゃんの特別なひと』


とても、平常心でいるなんてできない。


「ごめん、用事あるの!」


私は咄嗟に嘘を吐いて駆け出した。


「あっ、おい!」


焦るカナの声が後ろから聞こえるけど、振り向くわけにはいかなかった。


熱を帯びた顔を、赤らんだ顔を、カナに見られたくなかった。


それにきっと、普段通りの私でいられない。

きっと、カナの前でさえ、私は私でいられなくなる。


それが少し怖かった。


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