きみに触れられない
走って来たためか、いつもより早く学校に着いた。
息を整えながら、席に座る。
流れる汗をタオルで拭きながら、スクールバッグの中から課題を取り出した。
科目は英語。
明後日はテストがある。
当該ページを開いて、問題を解く。
けれど、あんまり頭に入ってこない。
最後に見たカナの不思議そうな顔だとか、昨日見たハルのニヤニヤした顔が、頭の中をいっぱいにしていく。
はあ、と溜息を吐いたときだった。
「おはよう」
後ろから声が聞こえた。
「綾芽ちゃん…」
「ミサ、どうしたの?」
綾芽ちゃんが心配そうな顔をして立っていた。
「え?」
「なんか、辛そうだから」
何かあった、と綾芽ちゃんは尋ねる。
言いたいけど、自分でも整理できないのに何をどう言えばいいのか分からなくなって、結局言わないことを選んだ。
「あ…ううん、なんでもない」
ありがとう。
そう笑うと「それならいいんだけど」と綾芽ちゃんはそれ以上つっこむことなく席に着いた。
それからこっちに振り返って、綾芽ちゃんは笑った。
「なんかあったら、言いなよ」
まるで無邪気な子どものように眩しかった。
「ミサはきっと、悩みを抱え込むタイプだから」
__嬉しかった。
こんな優しい言葉をかけてくれたのが、嬉しかった。
「ありがとう」
嬉しすぎて、胸がいっぱいで、言葉が詰まりそうになった。
息を整えながら、席に座る。
流れる汗をタオルで拭きながら、スクールバッグの中から課題を取り出した。
科目は英語。
明後日はテストがある。
当該ページを開いて、問題を解く。
けれど、あんまり頭に入ってこない。
最後に見たカナの不思議そうな顔だとか、昨日見たハルのニヤニヤした顔が、頭の中をいっぱいにしていく。
はあ、と溜息を吐いたときだった。
「おはよう」
後ろから声が聞こえた。
「綾芽ちゃん…」
「ミサ、どうしたの?」
綾芽ちゃんが心配そうな顔をして立っていた。
「え?」
「なんか、辛そうだから」
何かあった、と綾芽ちゃんは尋ねる。
言いたいけど、自分でも整理できないのに何をどう言えばいいのか分からなくなって、結局言わないことを選んだ。
「あ…ううん、なんでもない」
ありがとう。
そう笑うと「それならいいんだけど」と綾芽ちゃんはそれ以上つっこむことなく席に着いた。
それからこっちに振り返って、綾芽ちゃんは笑った。
「なんかあったら、言いなよ」
まるで無邪気な子どものように眩しかった。
「ミサはきっと、悩みを抱え込むタイプだから」
__嬉しかった。
こんな優しい言葉をかけてくれたのが、嬉しかった。
「ありがとう」
嬉しすぎて、胸がいっぱいで、言葉が詰まりそうになった。