きみに触れられない
「えっ、お前ら小学校の時からずっとクラスが同じなの?」
「どこの小学校だよ?」
「小学校の時から一緒とか、お前らすげぇな!」
みんなの興味関心の矛先は、完全に移り変わった。
「だろ?俺らめっちゃ仲いいから」
カナは機嫌よく笑う。
クラスの雰囲気もさっきまでとは打って変わって、ほのぼのしたものになった。
ふっと緊張が解けたような、恐怖が消えたような心地になった。
安心してため息がひとつこぼれる。
「ごめん、奏人いるー?」
クラスの扉が開いて、現れたのは3年の先輩だった。
カナの姿を見つけると、笑顔で手招きしている。
おそらく、サッカー部のキャプテンだと思われる。
この前みた試合で、みんなが彼のことをそう呼んでいた。
先輩が現れた瞬間、ざわめきは一気に静かになった。
「あっ、はい!」
カナは大きな声で返事した。
そのまま先輩のもとへ行くのだろうと思っていたけれど、違った。
「ごめん。巻き込んだ」
耳元で、カナはささやいた。
それは、一瞬。
きっと、数秒にも満たない短い時間。
「え?」
驚いて聞き直そうとしたときにはもうカナはそこにいなかった。
私達を囲んでいた人混みを掻き分けて、先輩のもとへと向かっていた。
「どこの小学校だよ?」
「小学校の時から一緒とか、お前らすげぇな!」
みんなの興味関心の矛先は、完全に移り変わった。
「だろ?俺らめっちゃ仲いいから」
カナは機嫌よく笑う。
クラスの雰囲気もさっきまでとは打って変わって、ほのぼのしたものになった。
ふっと緊張が解けたような、恐怖が消えたような心地になった。
安心してため息がひとつこぼれる。
「ごめん、奏人いるー?」
クラスの扉が開いて、現れたのは3年の先輩だった。
カナの姿を見つけると、笑顔で手招きしている。
おそらく、サッカー部のキャプテンだと思われる。
この前みた試合で、みんなが彼のことをそう呼んでいた。
先輩が現れた瞬間、ざわめきは一気に静かになった。
「あっ、はい!」
カナは大きな声で返事した。
そのまま先輩のもとへ行くのだろうと思っていたけれど、違った。
「ごめん。巻き込んだ」
耳元で、カナはささやいた。
それは、一瞬。
きっと、数秒にも満たない短い時間。
「え?」
驚いて聞き直そうとしたときにはもうカナはそこにいなかった。
私達を囲んでいた人混みを掻き分けて、先輩のもとへと向かっていた。