きみに触れられない
描く軌道、それぞれの行方
いつもいつも、私を助けてくれたのはカナだった。
大きな犬に追いかけられた時も、ジャングルジムのてっぺんから降りられなくなった時も。
友達の輪に入れなくて孤独だった時も。
『なあ、ミサ!』
『だいじょーぶだよ、いっしょにいるから』
カナはいつもの笑顔で私を助けてくれた。
テレビの中のヒーローのように怪獣を倒したりはしないけど、私をいつも助けてくれた。
確かにカナはヒーローだった。
憧れていた。
その強さに、眩しさに、優しさに。
カナのように、なりたいと。
そこで私はふと思った。
カナはどんな大人になりたいんだろう、と。
小学生の頃、帰り道、私はカナに聞いたことがある。
『ねえ、カナのしょうらいのゆめって、なぁに?』
『しょうらいの、ゆめ?』
カナは首を傾げる。
『おとなになったら、どんなことがしたい?』
カナはうーん、と唸って考え始めた。
どんな夢が飛び出すのだろう。
どんな未来を思い描いているのだろう。
ワクワクと期待のまなざしで待っていれば、カナは口を開いてこういった。
『わっかんねえ!』
きっぱり、すっきり、単純明快。
期待はずれの答えに私はがっくりと肩を落とした。
大きな犬に追いかけられた時も、ジャングルジムのてっぺんから降りられなくなった時も。
友達の輪に入れなくて孤独だった時も。
『なあ、ミサ!』
『だいじょーぶだよ、いっしょにいるから』
カナはいつもの笑顔で私を助けてくれた。
テレビの中のヒーローのように怪獣を倒したりはしないけど、私をいつも助けてくれた。
確かにカナはヒーローだった。
憧れていた。
その強さに、眩しさに、優しさに。
カナのように、なりたいと。
そこで私はふと思った。
カナはどんな大人になりたいんだろう、と。
小学生の頃、帰り道、私はカナに聞いたことがある。
『ねえ、カナのしょうらいのゆめって、なぁに?』
『しょうらいの、ゆめ?』
カナは首を傾げる。
『おとなになったら、どんなことがしたい?』
カナはうーん、と唸って考え始めた。
どんな夢が飛び出すのだろう。
どんな未来を思い描いているのだろう。
ワクワクと期待のまなざしで待っていれば、カナは口を開いてこういった。
『わっかんねえ!』
きっぱり、すっきり、単純明快。
期待はずれの答えに私はがっくりと肩を落とした。