きみに触れられない
4限目の時間、また担任がクラスに入ってきた。
今日の4限目は、担任による進路学習だ。
「今日は将来就きたい職業ややりたいことについて深めていきましょう」
担任はハガキと同じくらいの大きさの紙を配った。
「じゃあまず、今配った紙に、自分が就きたい職業ややりたいこと、その理由を書いてください」
すぐに書き始めるひと、少し考えて書き出したひと、考えて筆が止まっているひと。
みんなの様子はそれぞれだった。
私はもちろん、何も書けずに止まっているひとのグループだった。
小さな紙に視線を落とす。
まっしろで、枠線すら書かれていない。
分からない。
何を、どこに書けば正解なのか。
文字の大きさも、レイアウトも、指定があればいいのに。
ふと顔をあげて見渡すと、みんな書き出していた。
さっきまで書けずにいたひとも、書き始めている。
私は震えそうになる腕に力をいれて文字を書いた。
ゆっくり、ゆっくり、間違えないように、丁寧に。
書き上がった文字は、たった4つ。
『脳外科医』
小さくて頼りない字だった。
今日の4限目は、担任による進路学習だ。
「今日は将来就きたい職業ややりたいことについて深めていきましょう」
担任はハガキと同じくらいの大きさの紙を配った。
「じゃあまず、今配った紙に、自分が就きたい職業ややりたいこと、その理由を書いてください」
すぐに書き始めるひと、少し考えて書き出したひと、考えて筆が止まっているひと。
みんなの様子はそれぞれだった。
私はもちろん、何も書けずに止まっているひとのグループだった。
小さな紙に視線を落とす。
まっしろで、枠線すら書かれていない。
分からない。
何を、どこに書けば正解なのか。
文字の大きさも、レイアウトも、指定があればいいのに。
ふと顔をあげて見渡すと、みんな書き出していた。
さっきまで書けずにいたひとも、書き始めている。
私は震えそうになる腕に力をいれて文字を書いた。
ゆっくり、ゆっくり、間違えないように、丁寧に。
書き上がった文字は、たった4つ。
『脳外科医』
小さくて頼りない字だった。