きみに触れられない
きっと、うまく伝えられなかった。

想いを全部吐き出すように、叫ぶように、言葉を吐き出した。

文法も、言葉遣いも、表現も、はちゃめちゃで。

おまけに、感情が不安定なせいで八つ当たりのようになってしまった。


それなのにハルは静かに聞いてくれていた。

ずっと話を聞いてくれていた。


想いを全部吐き出して、少しすっきりしたし落ち着いた。

我に返った感覚だ。


「…つまりみーちゃんは、後悔したくないんでしょ?」


私は頷いた。


「さっきも言ったよね。みーちゃんの未来はみーちゃんのもの。

みーちゃんの未来はみーちゃんが決めなきゃいけないんだ。

だから、もう、考えるのやめたら?」


「え?」


「期待してくれている人のこと、いったん考えるのやめなよ」


落ち着こうとしていた波は、収まっていた炎は、再び波立ち、燃え上がる。


「ふざけないで!」


私は叫んだ。


「そんなの、そんなのできるわけないでしょ!

そんなの、考えないわけにはいかないでしょ!」


「でも、みーちゃんが自分で選ぶんだよ。みーちゃんの未来なんだから」


その落ち着いた声は、まっすぐな言葉は、正しかった。

正しいことだけを言っていた。

自分の未来は自分で決める。

そんなの、分かってる。

嫌になるほど分かってるから、言われると苛立ってしまう。

どうしようもないくらい、醜い私だ。
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