同期♂と私、ときどき熊♂
出会ってしまった
「何か喋れよ」
「えっ?なんか、って?」
いま思えば、初めから横柄な態度の人だった。
ここは関西地方、某所。
山々に囲まれ、自然豊かな、
建物も少なく低く、
程よく田舎で、程よく買い物施設も増えつつある。
空気と水の美味しい場所。
車や単車がないと、交通の便は少々悪いが、
駅前に出れば、お洒落なショッピング施設もある。
その地方で名を馳せる大型レジャー施設の中途採用者の入社式兼、研修会。
主だってはパチンコで、カラオケ、ボウリング、ゲームセンターもある。
本社ビルの会議室で10人ほど集められ、基本的な経営方針やマニュアルを教えられる。
研修が終わったら、それぞれの部署に配置が変わる。
もちろん希望優先だが、そこで親しくなっても、同じ部署とは限らない。
そこで、彪賀尊(ヒュウガミコト)になぜか気に入られた、安在鹿目(アンザイカナメ)。
関東出身らしく言葉に訛りはない彪賀。
推定年齢40前後。
185㎝はありそうな長身で、肩幅広い、柔道でもしていたような体格のよさだ。
短めの髪はざっくり梳かした、イケメン寄りだけれど、ちょっと強面。
過去には触れるなオーラがあり、誰かが迂闊に聞いてもはぐらかす。
謎の多い男。