同期♂と私、ときどき熊♂

聞いたことのない、優しい声で囁くように言われ、



ドキドキする。



座ったまま、動けない。


と、


目の当たりにしたクマオが、彪賀に飛び付いた。


捲った腕に噛みつく。


野生の本能が、そうさせたのだろう。それしか攻撃の方法がわからない。


やはり、致命的なのは首であることはわかっていたようで、


ギリギリのところで思い留まったようだ。


「いって!!!」


う"う"~~~っ!!!


と唸りながら、噛みついて離れない。


彪賀の腕から、血が滲んできた。


酔っているので血の巡りもよくなっているのが仇になった。


「クマオ!!もう、やめて!!」


クマコと鹿目が同時に叫んだ。


インターホンが鳴り、ハッとする。


「大丈夫ですか?」


小絵の声だ。


「ご、ごめんなさいっ!!大丈夫です!!静かにします!」


慌てて謝る鹿目。
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