同期♂と私、ときどき熊♂

「安在か。どうした?」


2人とも、顔色ひとつ変えず、あくまでも平静を保つ。お互い、人前でいちゃいちゃできる性格でもないし、


社内恋愛はいろいろ気まずい。
あれからまだ、付き合っているわけでもなく、食事にも行ってない。


隣の部屋なので、小絵はなんとなく気づいていたが、今回は我慢していた。


ただ、たまに茶々が入る。


「イベントの案、出来てます?」


裏の休憩室で。


日勤の仕事と引き継ぎが終わり、帰り支度する者、くつろいで一服する者。


他の部署の社員もバイトもいる。


彪賀はすぐ裏手に位置するメカ裏の担当で、メンテナンスを主にしていた。


休憩室には寄っただけで、仕事は始まったばかりだが、平日は比較的暇なので、少し手を止めていた。


食事が終わった頃、夜にかけて客足が増える。


みんな適度に仲はいい。


イベントの案、というのは、本社から全社員対象に、事務所のパソコンメールで送られてきたものだった。


採用者には何かしらのご褒美があるそうだ。


「彪賀さんと安在さんて、仲いいですよね」


自販機で買ったコーヒーを飲みながら、なんとなく御厨が口にする。


「人並みにね」


声が揃う。


「ほらあ」
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