同期♂と私、ときどき熊♂

「那美(ナミ)??」


「えっ…」


彪賀が来たことも驚いたが、その知り合いも来たことに驚く鹿目。しかも、ずいぶん親しそうだ。


「久し振り!!何してるの?」


私服なのでスタッフとは思わない。


「あっ、いや、あの」


はっ、と見ると、さっきの男と、鹿目が近付いてきた。


「一応、ここの系列の社員になったんだ」


へえ~?と、意外そうに眺め、


「この人、元カレ」


連れらしいその男にわざわざ紹介する。肩に手を添えるが、払おうと少し慌てる彪賀。


「初めまして。俺は葉月。ここの常連です。那美とはそこの
パチンコ屋で知り合ったんすけど。鹿目ちゃんのファンです。よろしく」


にっこり笑うと、握手を求める。


ふん、と、そっぽを向く彪賀。


「鹿目ちゃん、可愛いのに、彼氏いないらしいから、誰か紹介しようかって言ってたんだ」


「か…」


ずいぶん馴れ馴れしいな、と顔をしかめる彪賀。


いらない、って言ったんだけどな、と思いつつ、彪賀から目をそらす鹿目。あからさまに不機嫌だ。


「なんで、みっちーなんですか?」


那美と呼ばれた女性に聞いてみる。


「ミコト、だから、みっちー。カタイでしょ?名前」


堅くて悪かったな、と。
本人は嫌そうだが。気の毒に、という目で見てしまう。


「この人、今カレ。また遊びに来ていいでしょう?」


元、とはいえ、彪賀の彼女にしてはずいぶん奔放な女性だなと。


「…もう来なくていい」


仏頂面で答える。

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