同期♂と私、ときどき熊♂

「本当に、紹介してもらう気か」


まだ仏頂面で。


「綺麗な人ですよね。どうして別れたんですか?」


涼しい顔で聞かれ、ムッとする。顔には出さないが、なんとなく気になった鹿目。


そういうところには鈍かった彪賀。少しくらいは妬いてくれ、と。


休憩室で、2人。
缶コーヒーを飲みながら、なんとなく黙る。


小一時間遊んで、葉月と那美は帰った。


「本当に、紹介してもらうつもりじゃねえだろうな」


珍しく苛立ち、もどかしげに。


「…私とは、ずいぶんタイプが違うんですね。あんなこと言ってたわりには」


ちくちくと毒を吐く。


「それは、だから…違うんだよ。…いろいろあってだな」


ここで込み入った話もできない。


「…言ってもねえのに、どストライクの上、行きやがって…」


呟くように。
そのイメチェンこそが、鹿目の答えだったのだが、彪賀に伝わるはずもなかった。


「……クマオのことも、いいのか」


ぴくり、と反応してしまった鹿目。


「……いりませんよ」


塞がりかけた傷口に塩を塗ってしまったような気がした。


「…俺は、本気だからな。…まだ返事も聞いてねえんだぞ」


「お疲れ様です。あれ?彪賀さん!お疲れ様です!珍しいですね?どうしたんですか?」


一年先輩のリーダースタッフの小阪が休憩しに来た。


一応年下なので敬語だ。


「仲いいですよね、お二人。わざわざお休みの日に来たんですか?」


「人並みにね」


やはり声が揃う。
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