同期♂と私、ときどき熊♂
リベンジ
「何してるんですか!!」
その翌日。
夜勤で夕方出勤だった鹿目が、メカ裏で、まだ落ち込んでいる彪賀の元に押し掛けた。
「練習にならないじゃないですか!!彪賀さんいないと!!」
それは嘘だった。投げる練習だけなら相手がいなくてもできる。
「……あれがお前の返事なんだろ。よくわかったよ」
メンテナンスしながら、背中が落ち込んでいる。
「本当に、世話の焼ける人ですね」
ふう、とため息をつく。
「私がなんのために、初めて髪を染めたと思ってるんですか。ドライアイなんですよ?しかも」
はっきり言葉にはしない。
「…はじめて??どらいあい???」
目が乾きやすく、コンタクトが合わない体質のことだ。年齢で変わる場合もあるが。
目薬を手離せないし、団扇の風でも乾く。暖房でもカラカラになる。
「髪は、ほんの少しのつもりで自分でやって染まり過ぎましたけど。危なく規定違反になるところですよ」
彪賀が作業の手を止め、まじまじと見る。
「わがまま言わないでください。大変なんですから」
「…安在…お前、じゃあ」
「試合には、来てくださいよ?ちゃんと!」
言ったとき、ガシャン!!と音がした。
「あっ、いって!!」
「えっ?!危ない!!」
客のいないレーンの、動きを見ていた機械の隙間に足を滑らせた。少し、左足を切ってしまった。血が滲む。