同期♂と私、ときどき熊♂

やはり、初めてのイベントと、セミプロが来るとあって、かなりの賑わいになった。


それなりに有名らしい。


「我が子と言えど手加減せんぞ」


「はいはい」


父の言葉も聞き流す鹿目。


「…お、お久し振りです」


彪賀が挨拶に回り、父の前で緊張する。


「うん?お前どっかで…」


頭の先から爪先まで見ると、


「ああ!なんとかボウルにいた、小僧か!!」


図体のデカい小僧だ。


「その節は失礼を」


「娘はやらんぞ」


「はっ!?」


「ワシの目は節穴ではないぞ。そういうこともあるんじゃろう」


バレている。まだ出会って数分なのに。


「いえそんな、とんでもない!!働き者のいいお嬢さんで、助かってます」


「見え透いた世辞はいらん。じゃあ、いらんのだな?」


どっちだ。


「いや、あの…」


たじたじになる。やはり手強い。

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