同期♂と私、ときどき熊♂
スタッフと上司が裏へ走り、5分ほど待ったが、上を回り、下の
ピンのある場所に潜り、苦戦しているようだ。
普通にレーンの空いている状態なら、待たせるにも埒が明かないので、まず移動する場合もあるが、
これだけ混んでいる上に、マイボウラーの試合とあっては、おいそれとできる状況ではなかった。
「あと5分、待ってください」
言うと彪賀が表から走る。
レーン脇の20㎝ほどの横のスペースはそのためだ。
痛む足を引きずりながらピンのところまで行き着くと、
スライド式のパネルを上げ段を上がり、ざっくりと見渡す。すぐにパネルを下げる彪賀。
やがてピンのある下にするりと滑り込む。
何かの作業を手際よく済ませ、
本当に5分きっかりでパネルを上げ、帰ってきた。
「…かっこいい」
背後で小絵がぼそっと。
「お待たせしました。どうぞ」
いつの間にか息を呑んで見ていた全員が、
おーっ、となった。
が、
にこりともせず、その表情はすでに能面のようだった。