同期♂と私、ときどき熊♂

「熊谷です。よろしゅうたのんます」


ぴきっ。


彪賀が固まる。


やはり関西弁なのか。と。


むしろクマオより輪をかけてイケメンな気がした。


すでに身に纏った制服姿がそう見せているのか。


髪型もなに気に無造作な感じに仕上がっている。


クマオは着の身着のままだったから、みすぼらしく見えた。


「大学の後輩で、ちょうどバイト探してて。機械の専属が

入院して困ってるって話したら、面接してみるって」


御厨だ。


マニュアルがあるとはいえ、実践で即戦力というのは難しいものがある。とくに機械関係は。


断る理由もなく、結果、即採用だったらしい。


鹿目を会わせたくない。


また惚れてしまうかもしれない。

今度こそ、取られるかもしれない。
仕事さえも取られるかもしれない。

彪賀を、一気に不安が襲った。
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