モノクロの世界で
突然の津川さんの言葉に正直驚いた。
『りえ』
口に出してみようかと心の中で唱えて、口をつぐんだ。

「嫌。」
「ええええぇぇーなんでえぇー!!!」
私の返事に全身で抵抗する津川さん。『やだよー』と言って駄々をこねる姿はまるでお菓子を買ってもらえない小さい子のようである。

「別に『津川さん』で苦労してないから良い。」
そうはっきりと言うと津川さんの嘆きはより一層酷いものとなり、最終的には裕芽に怒られて大人しくなった。

が、私を見る目は未だ何かを訴えているようだ。
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