モノクロの世界で
「―あ、裕芽ちゃんだ」
隣でした名城くんの声に気付き、その目線を辿ると、昇降口の掃除をしている裕芽が居た。

「…あら、ほんとだ。」

掃除をせずに箒で遊んで居る男子達を怒っている。
ああ、裕芽らしいなと思いながら見ていた。

「裕芽ちゃんらしいなぁ」
横で少し微笑いを含んだ優しい声が聞こえた。
名城くんの方へと視線を戻すと、彼はまだ裕芽の方を見ながら微笑っていた。
優しい笑顔で。
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