モノクロの世界で
周りから聞こえてくる僅かな声が、頭を支配してその後の言葉が出て来なくなる。

―『私に関わらない方がいいんじゃない?』

そんな言葉を飲み込んでその場を足早に去った。

久しぶりの他人(ヒト)との会話に頭がくらくらする。













「あ―…行っちゃった…」
背を向け足早に去って行く釧路 青羽(クシロ アオバ)の姿を見、苦虫を噛んだような表情で伊村 裕芽(イムラ ユメ)は呟いた。
「あの子って…あの噂されてる釧路さん?」
裕芽の顔を覗き込むようにして名城 翔平(ナシロ ショウヘイ)は尋ねた。
「ああ…あのくっだらない噂ねー」
「相変わらず裕芽ちゃんはばっさり斬るねー」
苦笑気味に答える翔平。
「だって嫌いっそーゆー噂もそれに左右される人もっ」
そんなやり取りをしている二人の横で、津川 りえ(ツガワ リエ)が跳びはねながら言った。













「わたしっ青羽ちゃんと仲良くなりたいっ」
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