ファースト・キス
「ごめん!秋。俺、あいつに秋を取られると思って、あんな嘘付いちゃった。ごめん!悪かった。」


「何が?なんのこと?」


私は笑って自分をごまかした。


「お前、あいつのこと好きなんじゃねぇの?」


「先輩としては好きだけど、恋愛対象じゃないかな?」


「そっか!それならいいや。じゃあまた後でな!」

大翔は嬉しそうに笑った。

私は罪悪感で一杯になった。


「うん!」


引きつった顔で笑いながら手を振る私を見てルリが言った。


「大丈夫?相談乗るよ。」


「ありがとう。昼休みが終わるから、来週空いてるなら来週ちょっと付き合ってくれない?」


「いいよ。」


ルリはその日なにも聞かず、私の手を握ってくれていた。
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