大切なヒト
4月も後半にさしかかった頃、鈴たちがまた人を連れてきた。
どうやら華が呼んだらしいんだけど...
「何?小田さん、用って?」
華が呼んだのはどうやら女の子ではないらしい。
男の子独特の低い声が聴こえた。
「別にぃ?呼んだだけだよ?暇だから。」
特に用もなく呼ばれた方の身にもなろうよ、華ちゃん...
「何だ。やっぱり用ないんだ。」
声の主は特に怒っているわけでもなく、それが当たり前の様な反応。
華のそんな性格にも慣れているらしい。
「はぁ...まったく。あ、こんにちは、藤川さん」
あぁ、そうか。
聞き覚えのある落ち着く声が僕の記憶を甦らせ、思わず顔を上げた。
「こんにちは、立花くん。久しぶりだね。」
そこにはあの時と変わらない立花くんのきれいな笑顔。
これが僕たちの2度目の出会い