大切なヒト
朝早くから新幹線にのり僕たちは京都まで来ていた。
修学旅行の始まりだ。


楽しくなると思っていた修学旅行もあの事実を知ってしまってから楽しくなるとはとても思えなかった。


まさにその予想は的中した。


友達と過ごそう約束していた夜の自由時間。
それも楽しいものにはならなかった。
みんなでトランプをしているなか華の隣にはつねにたっちゃんがいた。


そんななかから抜け出して宿のなかをフラフラした。


喫煙できるところで煙草を吸っている先生を見つけて、僕は夜の自由時間の間先生を眺めて過ごした。
ほんの2、3時間のあいだに先生は6本もの煙草を吸いコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
大人なんだなぁ、とただただ思っていた。

次の日もそうして過ごした。
最後に先生と記念に撮った写真が修学旅行の一番の思い出になった。
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