君が欲しいけど……
私はメニューを広げてるけど、考えてるのは蓮のこと……

蓮がいるってだけで焦りが止まらない

気づかれたいけど気づかれたくない

話したいけど話せなくなる

そんなことを考えてるうちに

さくらはもう店員を呼んで頼み始めていた

私も後から慌てて頼む

「サラダとパスタください」

店員が繰り返しているあいだもずっと蓮をみてた

蓮は男友達と来てるみたい

パチッ

そのうちの一人、新田と目が合った気がした…

「あれ、奈央?」

新田が指を指してくる

その指に吸い込まれるように男子の視線がぶつかる

蓮も……

調子者の新田は私の席に向かって歩いてくる

もう、ほんとに迷惑……

そうおもって顔を背ける

今は蓮に会いたい気分じゃないのに……

少し嬉しかったりもするけどさ

「奈央!」

呼ばれて反射的にそっちを見た

蓮と男友達いた

「やっぱ、そうだー!おれすごくね?」

そう言ってる新田の声が聞こえないくらいに思考が停止した

蓮が目の前にいる嬉しさと舞の蓮に対する気持ちの交差……

「よぉ」

蓮の大人っぽい声は耳に入る

「よく分かったね。私、気づかなかった。」

嘘だよ…

最初から気づいてた

平静を装えていないのがわかるくらい震えている声

緊張と不安……

「奈央の妹かわい〜!こんな可愛い妹いたんなら紹介しろよ〜!」

こんな時に新田は明るくいう

緊張感ないな

まぁ、新田は関係ないことだもんな

さくらはさくらで楽しそうに話してる

新田と気が合うみたいで

「そーだ!一緒に食べよーよ!俺らまだきてないし……」

新田の提案に私以外賛成

もちろん表面上はちゃんとしたよ?

けど心の中では反対ですよ




それでいま、私たちは一緒の席でそれぞれの頼んだものを食べている

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