続★俺だけの家政婦さん
「野末くん?」

びっくりしたまま野末くんを見つめると野末くんの目は

お酒を飲んでいるもののしっかりした目だった。

よく見るとこの子犬の様な潤んだ瞳に私は騙されたんだ。

嫌いな人や知らない人には冷たそうな目をしてるのに・・・

こんな時にこの目で見つめるなんて反則じゃない。

目をそらして手を離して欲しくて強く手を引くと

野末くんの手がパッと離れた。

急に離されて自分の手をどこへ持って行けばよいのか

一瞬わからなくなって不自然に下に下ろす。

「そ、その袋・・・くれないのなら片付けてくださいね。それじゃあおやすみ」

私は軽く頭を下げると野末くんも立ち上がる。

「もう、一人で須藤に会うんじゃねーよ」

わかってるけど何だか面白くない。

「私が誰と会おうが関係ないじゃん」

「ばーか。俺が手を握っただけでドキドキしてるような
 男慣れしてねーやつがよく知りもしない奴と会うと
ろくな事ねーって事」


・・・…野末くんの言っていることはごもっともな言葉だが

既にろくな事になってないんだよね。

でもそんなこと言えないから・・・

「わかってる」と言いながら玄関へと向かった。


あ~~ぁ・・・・・・

部屋に入ると大きなため息が出る。

須藤先生の事だからこれ以上私に何か質問したりは

してこないと思うけど

私が今日話したことはしっかり書かれるんだろうな。

ラブストーリーとして・・・

そう思うと憂鬱だ。

野末くんに知られるのも・・・・嫌だ。


改めて自分の軽率な行動に深く反省した。
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