続★俺だけの家政婦さん
しばらく簡単なストレッチをしていると

「栞、右手貸して?」

体は正面を向いたまま野末君が自分の左手を横に差し出した。

「え?なんで?」

突然、右手貸せなんて言うもんだからびっくりして

中途半端に右手を横に出すと、パッと私の手を握った。

そのとたん、急に心拍数が早くなる。

一人でなぜかドキドキしていると

「次は左手をあげて俺の右手を・・・・掴むっと~」

と言いながら私の左手を掴むと自分のほうに体を引っ張れと言われた。

まさか2人でストレッチをするなんて。

なんて言葉を返せばいいのかわからなくて無言で必死に体を伸ばしている。

しかもドキドキはさっきよりもずっと早い。

たかがストレッチなのに・・・

相手は私を振った野末くんなのに・・・

どうかしてる。

「なあ」

「な、なに?」

ふいに呼ばれるが、体を伸ばしているためか唸ったような返事しかできない。

「今日は俺が夕飯作る」

「え?」

思わず動きが止まる。

「お、おい。急に動き止めんなよ」

野末くんが少しバランスをくずしながら動きを止めた。

「止めんなよって・・・いきなり変なこというんだもん。
 大体、私明日の午前中までは働きますけど?」

睨む様に視線だけを野末くんに向ける。

野末君は腰を左右に軽く捻ると私のほうに体をむけ


「わかってるよ。ま~栞の腕前からしたら俺なんて
たいしたことないかもしんないけど・・・
ま~今まで俺のわがままに付き合ってくれたお礼だと思ってくれ」
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