続★俺だけの家政婦さん
それもこれも原因はわかってる。

目の前で壁にもたれて薄ら笑いしている



野末芳行!お前だ~~~!!




お前のせいで全てが未経験なんだよ!

そんな恋愛そのものがトラウマになった原因を作った男が

まさか私の一番好きな作家、野島景だったなんて!

とろけるような甘い恋愛、それに私は毎回ドキドキさせられ

疑似恋愛を楽しんでいた。

小説に出てくるヒーローは私の理想だった。

それを書いていたのが私をこっぴどく振っただなんて

わかっていたら読んでなんかいなかった。

もう今まで野島景の作品に費やしたお金やドキドキを返してほしい!


「詐欺師」

「は?」

野末くんは顔を前に突き出し唇をゆがめる。

「私にあんな酷い事をいっておいてよくあんな小説書けるわよね!」

相手がお客だと言うことを完全に頭から消した。

後で所長に怒られてもいい。

この男の世話だけはお金をもらったって嫌だ。

だが、野末くんは再び薄ら笑いを浮かべる。
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